”ゴーストガン”、または”幽霊銃”と呼ばれる銃をご存じだろうか?「ゴーストバスターズ 」が使う幽霊を退治する銃というわけではない。幽霊のように実態のない銃の事を指すを言葉だ。
アメリカの銃購入
ゴーストガン(Ghost gun)とは銃社会であるアメリカで使われる言葉だ。銃社会のアメリカだが、誰でも自由に銃が持てる分けではない。1993年に制定された連邦法のブレイディ拳銃管理法(ブレイディ法)によって銃販売店は銃の購入者に対し身元調査期間を定め、前科がある者、精神病患者、麻薬中毒者、軍を不名誉除隊された者、未成年者などへの販売は禁止されている。
州によっては州法によってさらに独自の規制が設けられており、コロラド州やワシントン州などいくつかの州はライセンス制を布いている。
そして、銃販売店を通して購入される銃器は全て購入者と紐づけて登録され、銃本体にはシリアル番号が刻印されている。銃犯罪が起きれば登録データを基に捜査が行われ、速やかに犯人逮捕につながる。しかし、ここに登録されていない銃が存在している。それが”ゴーストガン”だ。
自分で組み立てる銃
銃は基本、メーカーが工場で製造、組立し、完成品と販売、ユーザーの手に届く。シリアル番号は工場出荷時には既に刻印されている。それに対してゴーストガンは個人でフレームやレシーバーなど部品やキットを個々に購入して銃を組み立てて完成させる銃で”ホームメイドガン”とも呼ばれる。部品やキットを購入する際は銃を購入する時にうけなければならない身元確認の必要はなく、ネットで簡単に購入できる。銃にはシリアル番号も刻印されない。つまり、どこにも実在するデータがない銃が出来上がることになる。以前、少し話題になった3Dプリントで作る3Dプリント銃もゴーストガンといわれる。
ゴーストガンであれば身元確認で弾かれて銃販売店から購入できない人でも、自身で組立てることで銃を手に入れることができ、また、そのような銃を作る人から購入することができてしまう。
実態がない、データがない銃ということは犯罪に使われても脚が付かない銃ということになり、犯罪者に使われることも多く、米国の法執行機関にとって大きな問題となっている。実際、カリフォルニア州で法執行機関が捜査で回収した銃の30%には製造番号が付いていなかったというデータもある。
日本でもエアガンを違法改造して法律で定める0.98ジュール以上の威力にあげ、殺傷能力のある武器に改造した人が逮捕されるニュースが定期的に報道されている。これは銃刀法違反で絶対にやってはいけない。エアガンを独自にカスタムする人も多いと思うが絶対に違法改造はしないように!