PDWとは”Personal Defense Weapon”の略で日本語に訳すと個人防衛火器を意味する銃の種類の一つだ。あまり聞きなれない名前だが、それもそのはず、普及していないからだ。PDWと、数少ないエアガンを紹介する。
SMGの弱点を補う銃
PDWはSMGの弱点を補うために開発された。SMGこと短機関銃はコンパクトで軽く取り回しがよく、その上、連射性能も高いとして、第二次大戦の頃から普及し始めた。戦後にはヘッケーラー&コッホ社(H&K)のMP5が登場。テロ対策の現場で結果を出し世界中で採用された。SMGは拳銃弾と同じ9×19mmパラベラム弾を使用するのが一般的。そのため、部隊間で補給など融通が利きやすいのがメリットだった。しかし、拳銃弾ゆえ威力はそこまで高くない。次第にテロリストの間でも防弾ベストの着用が広がってきてSMGでは対抗できなくなってきた。かといってアサルトライフルは長く、威力がありすぎて二次被害を起こす可能性がある。そこで開発されたのが1991年に登場したベルギーのFNハースタル社のPDW”P90(写真上)”だ。P90は9×19㎜ピストル弾よりも強力な専用の5.7×28㎜弾を使用した。ライフル弾ほどの威力はないがCQB(近接戦闘)では防弾ベストを貫通できる威力と装填数50発に優れた連射性、集弾性をようし、性能的にはSMGを超える銃であった。その後、H&Kからは4.6x30mm弾を使うMP7(写真下)がでるなど、PDWは今後の主流になるかと思われた。
なぜ?普及しなかった?
しかし、PDWは普及しなかった。なぜ普及しなかったのか?一番のネックは専用弾だ。SMGのメリットは拳銃弾を使用するので補給、コストメリットが高かった。方やPDWだと補給品が増えるし、製造ラインの新設または購入など追加コストがかかって負担が大きい。そして1990年代後半からM4ライフルに代表される、銃身の短いカービンライフルが一般的になり、足りない威力はカービンライフルで置き換えることができた。PDWの必要性は薄れ、新規で開発される機会はぐっと減ることになった。
PDWのエアガン
現場で使用される機会が少なくなったPDWだが、エアガンでは同モデルは人気だ。エアガンではPDWの威力というメリットは無くなっているが、専用弾はBB弾に置き換わり補給のデメリットは無くなっている。軽くてコンパクトな取り回しの良さはそのままで、非常に扱いやすいモデルなっており、女性にもお勧めだ。荷物としてもかさばらない。そんな数少ないPDWのエアガンを紹介する。
P90
エアガンのPDWとしては一番人気といってもいいかもしれない。丸っこくて近未来的な特徴的なフォルムをしており女性人気も高い。ボディはほぼプラスチックでできており軽い。複数のメーカーから発売されているが、お勧めするのはやはり「東京マルイ」であろう。スタンダートモデルの電動ガンに連射性能に優れたハイサイクルが出ている。全長は504mm、重量は2.2kgと持ち運びも楽だ。しかし、一点気をつけて欲しい点がある。それはマガジンチェンジだ。P90は銃上部に取り付ける専用の細長いプラスチックマガジンを使う。これは他の銃、エアガンでは見られない。マガジンチェンジの際、他のエアガンと比べるとちょっと面倒なのでノーマルマガジンではなく、弾切れの少ない多弾マガジンを使うことをお勧めする。
MP7
こちらも人気のPDWエアガンだ。東京マルイから電動ガンとガスガンのモデルが出ている。全長がストックを畳んだ状態で380mmとP90よりもさらにコンパクト、重量は僅か1.4kg。ストックは伸縮式なので体系に合わせて調整できる。上部とサイドにはピカティニーレールが配備されており、サイトやライトなどのアクセサリーが追加できる。ハンドガード下には折畳み式のフォアグリップが標準配置されており、ここを持つことで射撃もより安定するなどより実戦的、特にインドアやCQBエリアにはもってこいのエアガンだ。
TRIDENT MK2 PDW-M
アメリカのエアガンメーカーKrytac社のPDWエアガン。Krytacは実銃メーカーKriss社のエアガンブランドの名前だ。このエアガンは実銃としては存在しないエアガンモデル。M4・M16ライフルをベースにエアガン、サバゲー用に設計デザインされており、その上、M4よりも短い全長533mmは非常に扱いやすくなっている。実銃メーカーらしく剛性も高い。伸縮式のストックにピカティーレール、サイドには細心のM-LOKを配備し拡張性も高い。