カービン(Carbine)とは一般的なアサルトライフルより全長、銃身が短いライフルの事をさし、もともとは18~19世紀の騎兵が持つために作られた。戦場の主役は銃になっていたが、当時の銃は1分間に3~4発しか撃てなく、まだまだ白兵戦は多く、機動力が高い騎兵は重要だった。だがマスケット銃やクリケット銃などに代表される当時のライフルは全長150cmと長くて重く、騎兵が馬に乗りながら扱うには無理があった。そこで騎兵用に従来の銃よりも短く軽い銃が作られる。これがカービン銃の始まりだ。
携行性の高さから歩兵に広がる
しかし、第一次世界から第二次大戦にかけて騎兵は戦場から一切姿を消し、騎兵用の銃としての需要はなくなる。だが、短くて軽く取り回しのよいカービンは機動力を高めるとして、歩兵用の銃として広く採用される。ドイツ軍は第一次世界大戦でGewehr 98のカービンモデルのKar98kを開発。第二次世界大戦では旧日本軍が九九式短小銃、アメリカ軍がM1カービンを配備するなど、カービンライフルは歩兵用として一気に広がる。
M16のカービンモデルM4
そんなカービンライフルを代表するのが米軍が採用するM4カービンだ。M4カービンはベトナム戦争時に米軍初の全自動ライフルとして配備されたM16のカービンモデルだ。M4カービンは1994年から配備が始まり今では全軍でM4を採用している。このM16とM4を比較するのが、カービン銃がどれだけ短くなり、性能が異なるのか?下の図を見て欲しい。
スペック
M16 | M4 | |
全長 | 999mm | 851mm |
銃身長(バレル長) | 508mm | 368.3mm |
重量 | 3,500g | 2,680g |
有効射程 | 800m | 500m |
発射速度 | 700~950発/分 | 700~950発/分 |
銃口初速 | 960m/s | 910m/s |
カービンの短い、軽量という特徴が上の図で分かると思う。全長は150mmも短くなっている。重量は約1kgも減っている。カービンは全長を短くするために基本的にバレルを短くするので全長が短くなった分、同程度短くなった。バレルの長さは銃弾の飛距離と威力に比例しており、バレルを短くすればその分、射程と威力が減り、有効射程はM4が300mも短かい。これは致命的な差と思う人もいるかもしれないが、近代戦は300mの範囲での戦闘がほとんどで、有効射程の短さは特に影響がない。
現代のアサルトライフルにはほぼカービンモデルがある
現代のアサルトライフルにはほぼ全てといっていほど通常モデルと合わせてショート・コンパクトモデルと言われるカービンモデルが登場している。作戦や用途、兵種に合わせてカービン(ショート)、スタンダード、ロングと全長・バレル長が異なると3つのモデルを使い分けたり、バレル自体を取り換えたりする。
カービンの定義は?
では、何mm以下がカービンなのかという事になるが、カービンライフルの明確な定義はない。あえていうなら、M16のカービンがM4のようにスタンダードタイプがあり、それより短いモデル。カービン銃と呼ばれる多くの銃のバレル長の長さが14インチ(350mm)前後であるため、それに該当するのがカービンライフルと言えるかもしれない。