スナイパーライフルはなぜ、ボルトアクションが多いのか?

スナイパーライフルはなぜ、ボルトアクションが多いのか?
US Army

現在のライフルの多くがオートライフル(自動小銃)、もしくはセミオートライフル(半自動小銃)と呼ばれるもので、射撃すると自動的に次弾がチャンバーに装填、薬莢が排出されます。しかし、スナイパーライフルの多くはボルトアクション式を採用しており、1発撃つ度に手動でボルトを引くコッキングを行い排莢、装填を行う必要があり、連射ができません。なぜ、スナイパーライフルの多くは面倒なボルトアクションを採用しているのでしょう?

シンプルで部品点数が少ないことで精度が高くなる

ボルトアクション式の理由の一つしてあげられているのが、オートライフルに比べ、構造がシンプルなため、精度が高くなるという点です。シンプルということはそれだけ、部品点数が少ないということであり、射撃時に作動、干渉する部品が少ないため、弾丸への影響を最小限に留めることが可能です。

また、シンプルということは故障するリスクが少なく、仮に故障しても交換する部品が少なく済み、修理が簡単です。スナイパーは単独行動、長期に渡る作戦行動が多いため、ライフルの故障は命取りになります。そのため、信頼性の高いボルトアクションライフルを選択します。

飛距離長く、初速が高い

オートライフルはガス圧作動式になり射撃時の弾薬から発生したガス圧を利用して、ボルトを後退させ排莢と次弾装てんを行っていますが、ボルトアクションにはそれがありません。しかし、その分、バレルを完全に密閉し、射撃時に発生した燃焼ガスのほとんどが弾丸の推進力に使用されるため、弾丸の初速は早く、有効射程を拡大、重力と空気抵抗からの弾丸の落下を低減します。ただ、その分、反動が大きいため、連射には向いていません。

連射は必要ない

スナイパーは遠距離から一発で標的を仕留めるよう訓練されており、フルオートを必要としていません。仮に狙撃に失敗すれば、相手は隠れたり、回避行動をとります。遠距離から動く相手を狙うことは容易ではなく狙撃は失敗になります。狙撃がバレると、射撃位置を特定され、反撃されるリスクが高まります。スナイパーチームは基本スナイパーとスポッターの2人1組なので、包囲されれば終わりです。見つかれば、反撃せずに退避、支援を求めるが基本です。

最近ではセミオートタイプのスナイパーライフルも多数出ており、ボルトアクションとセミオートで違いはほとんどないと言われています。例えば、対物ライフルと知られるバレットM82はセミオート式です。バレットは2000m前後の狙撃にも成功しています。精度が変わらなければ、セミオートの方が圧倒的に利便性が高いです。しかし、狙撃世界記録のTop5は全てセミオートライフルであり、今後もしばらくボルトアクション式スナイパーライフルの主流スナイパーライフルが主流になると思われます。

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